ゆりレディースクリニック

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がん予防

Medical

がん予防

婦人科領域では子宮頸がんと子宮体がんと卵巣がんがメジャーな悪性腫瘍です。
子宮体がんや卵巣がんは検診で見つかることもありますが、確実な予防ができません。子宮体がんの検診は超音波検査と内膜細胞診で検査を行い、卵巣がんについては超音波検査で卵巣が腫れているかどうかを検査します。
一方、子宮頸がんに関しては原因や癌化の過程が明らかになっている唯一のがんであり、ワクチンと検診で防ぐことができるのです。

子宮頸癌の自然史

子宮頸がんは子宮頸部にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染し、その感染がたまたま持続すると子宮頸部異形成という前がん病変を経て癌化していきます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉で感染しますが9割は自然排除されます。一度でも性交渉のある女性であれば一生のうちに50~80%の人が一度は感染すると言われています。つまり子宮頸がんは誰にでも発症しうるのです。HPVに感染して子宮頸部異形成になるまで1~5年、癌になるまでには10年以上かかると考えられています。

子宮頸がん検診

細胞診

標準的な子宮頸がん検診の方法で、子宮の入り口を擦って細胞の形態をみる検査です。この検査で癌になる手前の状態で早期発見することが可能です。80%弱の確率で中等度異形成以上の病変を見つけることができます。市の健診の案内をお持ちの方はこの検査を行います。

HPV検査

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)を検出する検査です。細胞診よりも見逃しが少なく、95%程度の確率で中等度異形成以上の病変を見つけることができます。HPV検査が「陰性」という太鼓判があれば、癌化するまでの猶予期間として次回の検診を3~5年あけてもよいということになります。逆に「陽性」であっても、細胞診で異常がなければその時点では治療の必要はありません。多くの場合いずれウイルスは自然排除されます。
オーストラリアでは世界に先駆けて2017年から子宮頸がん検診を細胞診ではなくHPV検査で行っています。当院でも自費診療で子宮頸がん検診を希望される方にはこのHPV検査をお勧めしています。

 

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんワクチンとは、原因となるHPV感染そのものを予防するという究極の予防方法です。HPVは150種類以上の型があり、ワクチンは最もハイリスクな16型と18型をターゲットとしています。しかし、他の型で発がんすることもあるため、ワクチンでの予防効果は100%ではありません。よって性交渉が始まる前にワクチン接種を行い、一度でも性交渉があれば、その後定期的に子宮頸がん検診を受けるというのが理想的です。

注意すべきは、子宮頸がんワクチンは、現在感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変や、がんを治療したりする効果がないということです。HPVに感染している状態でのワクチン接種は、次回の感染を予防する面でメリットがありますが、性交渉前の接種が最も効果的と言えます。副反応は、注射部位の疼痛、発赤および腫張、そう痒、胃腸症状、筋痛、関節痛、頭痛、疲労などがあります。定期接種対象の方に対しては公費助成でHPVワクチンを接種することができます。

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